目次

「水源の濁り水は六本の支流を合せてたちまち太り」

Page Type Example
Example ID a2058
Author 太宰治
Piece 「ロマネスク」
Reference 『太宰治』
Pages in Reference 29

Text

水源の濁り水は大渦小渦を巻きながらそろそろふくれあがって六本の支流を合せてたちまち太り、身を躍らせて山を韋駄天ばしりに駈け下りみちみち何百本もの材木をかっさらい川岸の樫や樅や白楊の大木を根こそぎ抜き取り押し流し、

Context Focus Standard Context
水源の濁り水は 太り (川幅を増し)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 太る = 氾濫する 氾濫する=太る

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
寓意・アレゴリー (allegory) 直前の「ふくれあがる」に連なる表現。
イメジャリー・イメージ (imagery) 食物を多量摂取による体重増加のイメージをもとに、支流が合わさった後も水源からの止めどな流入によって水の体積がどんどん大きく膨れ上がっていく様子を想起させる。
擬人法 (personification) 太った人のような重量感と周囲に与える圧迫感を、流れる水に感じさせる。
自然描写 (description of nature) 人が太っていく過程になぞらえることで、川の水量が増加する様子を描いている。