目次

「虎烈剌を畏れて虎烈剌に罹らぬ人のごとく、神に祈って神に棄てられた子のごとく」

Page Type Example
Example ID a1905
Author 夏目漱石
Piece 「思い出すことなど」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 383

Text

けれども虎烈剌(コレラ)を畏れて虎烈剌に罹らぬ人のごとく、神に祈って神に棄てられた子のごとく、余は今日までこれと云う不思議な現象に遭遇する機会もなく過ぎた。

Context Focus Standard Context
虎烈剌を畏れて虎烈剌に罹らぬ人のごとく、神に祈って神に棄てられた子のごとく ()

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 怖がる = 畏敬する 敬う=恐れる

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
並列法・パラタクシス (parataxis) パラレリズムによって、コレラを恐れることを、神を畏れることに対応づける。
対照法・対照 (antithesis) コレラの場合は、コレラを遠ざけようとして結果その通りになっているが、神の場合は、神に近づきになろうとしているが捨てられる点で対照をなす。
挙例法・例証・範例 (example) 不思議な経験をもたないという状態を描写するために、コレラを畏れたり神に祈ったりする人という同種の例を挙げている。
人物描写 (description of a character) コレラを畏れたり神に祈ったりする人という例を挙げることで、不思議な体験をもたないという自身の状態がどのようなものであるのかを具体的に想起させる。