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「驚ろいた事も驚ろいたし、極りが悪るい事も悪るいし」

Page Type Example
Example ID a1833
Author 夏目漱石
Piece 「吾輩は猫である」
Reference 『夏目漱石』
Pages in Reference 269

Text

やはり沈着な口調で『その船頭でせっかくの催しも竜頭蛇尾(りゅうとうだび)に終りました。実は会場の隣りに女学生が四五人下宿していましてね、それがどうして聞いたものか、その日は朗読会があるという事を、どこかで探知して会場の窓下へ来て傍聴していたものと見えます。私(わたく)しが船頭の仮色(こわいろ)を使って、ようやく調子づいてこれなら大丈夫と思って得意にやっていると、……つまり身振りがあまり過ぎたのでしょう、今まで耐(こ)らえていた女学生が一度にわっと笑いだしたものですから、驚ろいた事も驚ろいたし、極(きま)りが悪(わ)るい事も悪るいし、それで腰を折られてから、どうしても後がつづけられないので、とうとうそれ限(ぎ)りで散会しました』第一回としては成功だと称する朗読会がこれでは、失敗はどんなものだろうと想像すると笑わずにはいられない。

Context Focus Standard Context
驚ろいた事も驚ろいたし、極りが悪るい事も悪るいし ()

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
過大誇張 (auxesis) 「XもX」という構造の反復によって、Xのなかでも顕著な程度であったことを強調している。
反復法・反復 (repetition) 「XもX」という構造の反復によって、Xの程度の高さを示す。