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「頭をペコリとも下げないから土だらけのゴボウのようだ」

Page Type Example
Example ID a1773
Author 坂口安吾
Piece 「金銭無情」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 296

Text

富子の母親にはお金持の旦那があって金に不自由がないから、娘を芸者に一稼ぎなどという考えはなく、然るべき男と結婚させてと大いに高い望みをかけている。だから四十男の貧乏な哲学者[=清人]など話の外だと思っており、無口で陰鬱で大酒のみで礼儀作法を心得ず、社交性がみじんもなくて、おまけに風采はあがらない。一つも取柄といふものがないから頭から罵倒する。山奥から来て花柳地(かりゅうち)に住みついた女中共は半可通の粋好みだから悪評は決定的の極上品で、土の中からぬきたてのゴボウみたいだと言う。なるほど、うまい。全く孤影悄然(こえいしょうぜん)、挨拶一つ言わず、頭をペコリとも下げないから土だらけのゴボウのようだ。

Context Focus Standard Context
土だらけのゴボウ (男)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 ごぼう = 男=菊

Grammar

Construction Aのようだ
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ようだ] の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ようだ 様-類似-終止形

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) ゴボウという直線的であり曲げることの出来ない植物を引き合いに出すことで、うだつの上がらない哲学者について、愛想が悪く頭を下げて挨拶一つもしないことを示す。
イメジャリー・イメージ (imagery) 野暮な見た目であることを、「土だらけ」という指定を加えることで、きれいに整えられていないことから表現する。
人物描写 (description of a character) ゴボウのイメージを引き合いに出すことで、当該人物の人となりを具体的に想起させる。