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「犬と並んで同じように焼かれている死体は全く犬死で」

Page Type Example
Example ID a1744
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 275

Text

犬と並んで同じように焼かれている死体もあるが、それは全く犬死で、然しそこにはその犬死の悲痛さも感慨すらも有りはしない。人間が犬のごとくに死んでいるのではなく、犬と、そして、それと同じような何物かが、ちょうど一皿の焼鳥のように盛られ並べられているだけだった。犬でもなく、もとより人間ですらもない。

Context Focus Standard Context
犬と並んで同じように焼かれている死体もあるが、それは全く 犬死 ()

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 人間 人間=犬

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
重義法・秀句 (pun)

「犬死」は本来「犬のように哀れに死ぬ」という意味をもつが、それが犬と並んで死んでいる状況に当てはめられることで、部分的に字義化されている。 |

評価 (evaluation) 犬と人間とが並んで死んでいることに焦点を当て、まさに「犬死」という定型句が言う通り、無残で哀れなこととして描かれている。
イディオム・慣用表現 (idiom) どのような状況であるかについて、「犬死」という定型句を参照して描いている。