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「精神に新たな芽生えの唯一本の穂先すら見出すことができない」

Page Type Example
Example ID a1704
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 268

Text

それはまるで嘘のような空々しさで、たしかに彼の身辺に、そして彼の精神に、新たな芽生えの唯一本の穂先すら見出すことができないのだ。

Context Focus Standard Context
精神に 芽生えの唯一本の穂先 (変化の兆し) すら見出すことができない

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 芽生え = 兆し 兆し=芽

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イディオム・慣用表現 (idiom) 気持ちなどが「芽生える」という慣用的な比喩を拡張している。
誇張法 (hyperbole) 芽生えの植物のイメージをさらに具体的にすることで、兆しがまったくないことが強調されている。「彼」の身辺や精神の様子が変化する兆しのなさが、新たに生えてくるかもしれない穂先を探そうと土に顔を近づけてみても芽生えの気配が全く感じられないというほどに、極めて強いものであることが表されている。
人物描写 (description of a character) 身辺や精神の様子の変化に焦点を当てて、「彼」がどのような人物であるのかを描いている。