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「二百円の給料がどうして骨身にからみつき」

Page Type Example
Example ID a1669
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 264

Text

彼は芸術を夢みていた。その芸術の前ではただ一粒の塵埃でしかないような二百円の給料がどうして骨身にからみつき、生存の根底をゆさぶるような大きな苦悶になるのであろうか。

Context Focus Standard Context
給料が 骨身にからみつき (自分を束縛し)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 骨身 = 心=聖体
2 からみつく = 束縛する 縛る=巻き付く

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 二百円という収入上の制約が、物理的な力をもって身体の自由な動きを阻んでいるかのように感じられるほど、「彼」の心に重くのしかかって強い影響を与えていたという印象を与える。
心理描写 (psychological-description) 侮蔑的に評価しているはずであるにもかかわらず、収入上の制約が彼にとって逃れられない大きな苦悶の原因となっていることが描かれている。