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「まったく幼い子供の無心さと変るところがない」

Page Type Example
Example ID a1667
Author 坂口安吾
Piece 「白痴」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 263

Text

彼は女を寝床へねせて、その枕元に坐り、自分の子供、三ツか四ツの小さな娘をねむらせるように額の髪の毛をなでてやると、女はボンヤリ眼をあけて、それがまったく幼い子供の無心さと変るところがないのであった。

Context Focus Standard Context
幼い子供の無心さ それ[=女の表情]

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 子供 = 女=子

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A 変るところがない が-主語
2 まったく 変るところがない すこぶる(すこぶる)
3 B と[変わるところがない] と-比較の基準
4 B [と]変わる[ところがない] 違う(ちがう)
5 B [と変わる]ところ[がない] 所(ところ)
6 B [と変わるところ]が[ない] が-主語
7 B [と変わるところが]ない ない(ない)

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 「女」を幼い子供になぞらえることで、彼女のあどけなさや無垢さが示唆される。
人物描写 (description of a character) 「女」を幼い子供になぞらえることで、彼女の人となりを描いている。
含意法 (implication) 「女」を幼い子供になぞらえることで、彼女のあどけなさや無垢さを示し、当該文脈における発話者の女への愛情が通常の女性に対する情欲的なものではないことを示唆する。
評価 (evaluation) 「女」を幼い子供になぞらえることで、当該文脈における発話者が彼女を慈しみ庇護する対象とみなしていることが示されている。