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「人間は常に網からこぼれ堕落し」

Page Type Example
Example ID a1620
Author 坂口安吾
Piece 「続堕落論」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 242

Text

政治、そして社会制度は目のあらい網であり、人間は永遠に網にかからぬ魚である。天皇制というカラクリを打破して新たな制度をつくっても、それも所詮カラクリの一つの進化にすぎないこともまぬがれがたい運命なのだ。人間は常に網からこぼれ、堕落し、そして制度は人間によって復讐される。

Context Focus Standard Context
網からこぼれ (制度から外れ) 人間は

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 制度 制=網
2 こぼれる = 逸脱する 偏る=こぼれる

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
寓意・アレゴリー (allegory) 直前の「目のあらい網」や「網にかからぬ魚」に連なる表現。
イメジャリー・イメージ (imagery) 政治・社会制度が実質的な効力を発揮できず、それらを人間がいとも簡単にくぐり抜けていってしまう様を、網からこぼれる魚のイメージによって視覚的に描いている。
含意法 (implication) 「網からこぼれ」るという表現は魚を捕まえようとする人間に視座があり、ここでも政治・制度側から人間を眺めるかたちになる。
定義 (definition) 網と魚の関係になぞらえながら、社会制度と人間の関係がどのようなものであるのかが規定されている。