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「私はこの人の面影を高貴なものにだきしめていた」

Page Type Example
Example ID a1385-1
Author 坂口安吾
Piece 「風博士」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 109

Text

二十七の独身の人で、生涯独身で暮す考えだということを人づてにきいたが、何かしっかりした信念があるのか、非常に高貴で、慎しみ深く、親切で、女先生にありがちな中性タイプと違い、女らしい人である。私はひそかに非常にあこがれを寄せたものだ。本校と分校と殆ど交渉がないので、それっきり話を交す機会もなかったが、その後数年間、私はこの人の面影を高貴なものにだきしめていた。

Context Focus Standard Context
この人の面影を高貴なもの (として) だきしめていた

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
違反用法・語法違反 (solecism) ここでの「高貴なものに」は「高貴なものとして」という程の意味である。「に」が「として」と似た意味をもつ場合としては、「代わりに使う」のような法があるが、ここでの用法はこの種の通常の語法から逸脱していると思われる。