目次

「空の奥、海のかなたに見えない母をよんでいた」

Page Type Example
Example ID a1373
Author 坂口安吾
Piece 「石の思い」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 95-96

Text

私は学校を休み松林にねて悲しみに胸がはりさけ死ぬときがあり、私の魂は荒々しく戸を蹴倒して我家へ帰る時があっても、私も亦、母の鼻すら捩じあげはしないであろう。私はいつも空の奥、海のかなたに見えない母をよんでいた。ふるさとの母をよんでいた。

Context Focus Standard Context
空の奥、海のかなたに見えない母を よんでいた (焦がれていた)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 呼ぶ = 焦がれる 引かれる=呼ぶ

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 故郷を想起させる風景の中に母の姿を強く求めていたという心情が、母本人を実際に呼んでいたといえるほど確かであったという印象を与える。
過大誇張 (auxesis) 母の姿を強く求めていたことが、自然物のすべてにそれを求めるほど切実であったことを強調する。