目次

「白い布のような塊りが照らし出されていて」

Page Type Example
Example ID a1284
Author 梶井基次郎
Piece 「ある崖上の感情」
Reference 『梶井基次郎』
Pages in Reference 93-94

Text

その部屋のなかには白い布のような塊りが明るい燈火に照らし出されていて、なにか白い煙みたようなものがそこから細くまっすぐに立ち騰(のぼ)っている。そしてそれがだんだんはっきりして来るんですが、思いがけなくその男がそこに見出したものはベッドの上にほしいままな裸体を投げ出している男女だったのです。白いシーツのように見えていたのがそれで、静かに立ち騰っている煙は男がベッドで燻らしている葉巻の煙なんです。

Context Focus Standard Context
白い布 (塊り)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 塊=布

Grammar

Construction AのようなBがC
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target
C Elaboration

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A の[ような] B の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
2 A [の]ような B 様-類似-連体形
3 B C が-主語

Pragmatics

Category Effect
図地構成 (figure-ground organization) ベッドに横たわる男女の裸体の白さが視覚的に際立つ様子を表現する。
人物描写 (description of a character) 一組の裸の男女をその質量から「塊」とし、燈火に照らされた裸体の白さ及び一定の範囲に広がる様子を「白い布」によって表現する。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 視点人物にとって、裸の男女が人間としてでなく「白い布」として映じていたことを表す。