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「咢堂の厭味を徹底的にもっている」

Page Type Example
Example ID a1125
Author 坂口安吾
Piece 「石の思い」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 77

Text

咢堂(がくどう)という人は何事につけても特にこういう注釈づきの見方をつけたさずにいられぬ人で、その点政治家よりも文学者により近い人だ。見方が万事人間的、人性的なので、それを特につけたして言い加えずにいられぬという気質がある。私の親父にはそれがない。ところが私にはそれが旺盛で、その点では咢堂の厭味を徹底的にもっている。自分ながらウンザリするほど咢堂的な臭気を持ちすぎている。

Context Focus Standard Context
咢堂 () の厭味

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 尾崎咢堂 = 我=伊藤博文

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
人物描写 (description of a character) 注釈付きの見方を付け足さずにはいられないという性質が「私」あるということがが、その性質を特徴的にもっている咢堂という人物のイメージに託して表現されている。
皮肉・反語・アイロニー (irony) 咢堂という人物の気質を冷笑的な態度で言い表すと同時に、冷笑的な態度で自分自身の描写も行っている。自己卑下的な印象を与える。