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「阿賀川の水がかれてもあそこの金はかれない」

Page Type Example
Example ID a1110
Author 坂口安吾
Piece 「石の思い」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 68

Text

私の家は昔は大金満家であったようだ。徳川時代は田地の外に銀山だの銅山を持ち阿賀川の水がかれてもあそこの金はかれないなどと言われたそうだが、父が使い果して私の物心ついたときはひどい貧乏であった。

Context Focus Standard Context
阿賀川の水がかれてもあそこの金は かれない (無くならない)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 枯れる = なくなる なくなる=枯れる

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
縁語・縁装法 (-) 「阿賀川の水がかれても」の縁で「かれない」を導くことで、金が水のように感じられる。
カテゴリー転換 (-) 金を水のように捉えている。
過大誇張 (auxesis) 「阿賀川の水がかれる」という有りそうにない事態を引き合いに出すことで、金の豊富さを表している。
アナロジー・類推 (analogy) 財産を川の水になぞらえる表現。
対照法・対照 (antithesis) 涸れゆく川から水が徐々になくなっていく様子と、「私の家」が所有する財産がなくなることは決してないという(過去の)信念とが対比されている。
含意法 (implication) 川に流れ込む水の量が流れ出ていく量より少なくなることはあっても、「私の家」の収入が支出を上回ることは決してなかった(と信じらていた)という含みがある。