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「心臓を展(ひら)くことを拒む」

Page Type Example
Example ID a1105
Author 坂口安吾
Piece 「FARCEに就て」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 60

Text

ファルスの作者というものは、決して誰にも(無論自分自身にも——)同情なんかしようとはしないものだ。頑(がん)として、木像のごとく木杭(きぐい)のごとく、電信柱のごとく断じて心臓を展(ひら)くことを拒むものである。そして、このおよそ有(あら)ゆる物への冷酷な無関心によって、結局およそ有(あら)ゆる物を肯定する、という哀れな手段を、ファルス作家は金科玉条として心得ているだけである。

Context Focus Standard Context
心臓 (心) を展く

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 心臓 > 感情 循環器>情

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) 思考や感情などが「心臓」という器官の中に物理的に収まっているかのように感じさせる。
対照法・対照 (antithesis) 身体部位によって心を表現することで、直前の「木像」「木杭」「電信柱」という無生物との対比を生む。
イメジャリー・イメージ (imagery) 直前の「木像」「木杭」「電信柱」という無生物と対比し、身体部位として表象することで、心を血の通った生身の身体の一部として描く。