目次

「電信柱のごとく断じて心臓を展(ひら)くことを拒む」

Page Type Example
Example ID a1104
Author 坂口安吾
Piece 「FARCEに就て」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 60

Text

ファルスの作者というものは、決して誰にも(無論自分自身にも——)同情なんかしようとはしないものだ。頑(がん)として、木像のごとく木杭(きぐい)のごとく、電信柱のごとく断じて心臓を展(ひら)くことを拒むものである。そして、このおよそ有(あら)ゆる物への冷酷な無関心によって、結局およそ有(あら)ゆる物を肯定する、という哀れな手段を、ファルス作家は金科玉条として心得ているだけである。

Context Focus Standard Context
電信柱 (ファルスの作者)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 電信柱 = 作者 作者=大黒柱

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source
C Target
D Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A と[して] B と-副詞語尾
2 A [と]し[て] B する(する)
3 A [とし]て B て-並列・列叙
4 B の[ごとく] D の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
5 B [の]ごとく D ごとし-類似-連用形
6 C D を-目的・目標(他動詞)
7 D もの[である] 対象(たいしょう)
8 D [もの]で[ある] て-補助用言に連なる用法

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) ファルスの作者は心の動きを拒絶するものであることを、電信柱という心が存在しない無生物によそえることで分かりやすく表現する。
アナロジー・類推 (analogy) 電信柱に心が存在しないことを通じて、ファルスの作者は心の動きを拒絶するものであることを類比的に表現する。
強調反復 (diacope) 「木杭」「電信柱」の比喩が後続で反復され、ファルスの作者の無感動さを強調する。