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「人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しい」

Page Type Example
Example ID a1080
Author 坂口安吾
Piece 「FARCEに就て」
Reference 『坂口安吾』
Pages in Reference 50

Text

単なる写実は実物の前では意味を成さない。単なる写実、単なる説明を文学と呼ぶならば、文学は、よろしく音を説明するためには言葉を省いて音譜を挿(はさ)み、蓄音機を挿み、風景の説明にはまた言葉を省いて写真を挿み、(超現実主義者、アンドレ・ブルトンの“Nadja”には後生大事に十数葉の写真を挿み込んでいる)、そしてよろしく文学は、トーキーの出現と共に消えてなくなれ。単に、人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しい。

Context Focus Standard Context
地球に 表紙をかぶせる (本の中身とみなす)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 地球に表紙をかぶせるという視覚的映像を提示することで、本の装丁のなかに、言葉が表すものを入れることができるという虚構的な設定がなされている。
アナロジー・類推 (analogy) 文学が描く人生は、地球上で起こるすべての物事に関わることの類推から、地球が人生の物質的代替物として位置づけられている