目次

「蛮人のような瞳を据えて」

Page Type Example
Example ID a0894
Author 谷崎潤一郎
Piece 「秘密」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 31

Text

畳の上に投げ出された無数の書物からは、惨殺、麻酔、魔薬、妖女、宗教———種々雑多の傀儡(かいらい)が、香の煙に溶け込んで、朦朧と立ち罩(こ)める中に、二畳ばかりの緋毛氈を敷き、どんよりとした蛮人のような瞳を据えて、寝ころんだまま、私は毎日々々幻覚を胸に描いた。

Context Focus Standard Context
蛮人 () のような瞳

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 蛮人 > 民族>我

Grammar

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Elaboration
B Source
C Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A と[した] C と-副詞語尾
2 A [と]し[た] C する(する)
3 A [とし]た C た-存続-連体形
4 B の[ような] C の-「ようだ」「ごとし」で受ける場合
5 B [の]ような C 様-類似-連体形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 文明の暗部を描いた書籍や香に耽溺し、快活な活動性などを失った姿を、文明に反する蛮人の典型的イメージによって具体化している。
評価 (evaluation) 文明を全くもたない蛮人になぞらえることで、当該人物の様子について否定的な評価を示している。
人物描写 (description of a character) 蛮人になぞらえることで、当該人物の瞳が知性を失っていた様を描いている。