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「女のような血が流れ」

Page Type Example
Example ID a0875-1
Author 谷崎潤一郎
Piece 「秘密」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 34

Text

みぞおちから肋骨の辺を堅く緊め附けている丸帯と、骨盤の上を括っている扱帯(しごき)の加減で、私の体の血管には、自然と女のようなが流れ始め、男らしい気分や姿勢はだんだんとなくなって行くようであった。

Context Focus Standard Context
女のような 気分 が流れ始め

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 本性 天性=血

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 女性らしさという性質が、身体を流れる血液のように、身体の隅々までしっかりと着実に広がっていったという印象を与える。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 女性らしさという性質に、血中に実際に存在する物質のような具体性が感じられる。
心理描写 (psychological-description) 血の巡りによって女性らしさという性質が身体中に行き渡るかのように感じられた、という「私」自身の知覚内容が描かれている。
アナロジー・類推 (analogy) 血液が身体に行き渡るのには一定の時間がかかることから、「私」の気分や姿勢が女性らしくなるまでに一定の時間がかかったことが理解される。