目次

「その真っ白な色紙を散らしたようなのが、きらきらと反射しつつある」

Page Type Example
Example ID a0845
Author 谷崎潤一郎
Piece 「吉野葛」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 270

Text

あたかも漁師町で海苔を乾すような工合に、長方形の紙が行儀よく板に並べて立てかけてあるのだが、その真っ白な色紙を散らしたようなのが、街道の両側や、丘の段々の上などに、高く低く、寒そうな日にきらきらと反射しつつあるのを眺めると、彼は何がなしに涙が浮かんだ。

Context Focus Standard Context
真っ白な色紙を散らした 長方形の紙が行儀よく板に並べて

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 色紙 = 紙=白紙
2 散らす = 並ぶ 乾く=散る

Grammar

Construction AようなB
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Source
B Target

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A ような B 様-類似-連体形

Pragmatics

Category Effect
イメジャリー・イメージ (imagery) 街中に並べ立てかけてある紙について、そのきらめきを、真っ白い紙を散らしたときのきらめきを引き合いに出して具体的に想起させる。
過大誇張 (auxesis) 「真」という程度性の指定を行うことで、紙の白さを際立たせている。