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「この山間の霊気と日光とが凝り固まった気がした」

Page Type Example
Example ID a0839
Author 谷崎潤一郎
Piece 「吉野葛」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 243

Text

そんな話を聞きながら、私はしばらく手の上にある一顆の露の玉に見入った。そして自分の手のひらの中に、この山間の霊気と日光とが凝り固まった気がした。

Context Focus Standard Context
霊気と日光とが 凝り固まった (集まっている)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 凝り固まる = 集まる 集まる=固まる

Grammar

Construction AがB気がした
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A B が-主語
2 B 気[がした] 気(き)
3 B [気]が[した] が-主語
4 B [気が]し[た] する(する)
5 B [気がし]た た-過去-終止形

Pragmatics

Category Effect
擬物法・結晶法 (hypostatization) 露に自然の気と光が凝縮されているのではないかという主体の内的な印象を、「凝り固まる」という凝固を表す動詞を用い、気と光という実体性の薄い事物が露に凝固しているとして表示することで表現する。
心理描写 (psychological-description) 掌上の露を眺める「私」にとって当該の露がどのように見えたのかを主観的に表現している。