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「簾のかげから真っ白な女の素足のこぼれて居る」

Page Type Example
Example ID a0601
Author 谷崎潤一郎
Piece 「刺青」
Reference 『谷崎潤一郎』
Pages in Reference 12

Text

丁度四年目の夏のとあるゆうべ、深川の料理屋平清の前を通りかかった時、彼はふと門口に待って居る駕籠の簾のかげから、真っ白な女の素足のこぼれて居るのに気がついた。

Context Focus Standard Context
素足の こぼれて (見えて) 居るのに気がついた

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 こぼれる > 見える こぼれる>見え隠れする

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
人物描写 (description of a character) 女の美しい足が思いもかけずに見えたことについて、非意図的であり、かつ物の露見を特徴とする動詞である「こぼれる」を用い、ことで表現する。
異例結合 (-) 「こぼれる」という動詞は通常、「素足」などの身体部位を項に取らない。あえて両者を結合するこよにより、「こぼれる」の持つ非意図的、物の露見といった特徴を「素足」に適用した描写を展開できる。