目次

「己を全うする途(みち)を棄て道のために天下を周遊している」

Page Type Example
Example ID a0408
Author 中島敦
Piece 「弟子」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 76

Text

みちみち孔子と昨夜の老人とを並(なら)べて考えてみた。孔子の明察があの老人に劣(おと)る訳はない。孔子の慾(よく)があの老人よりも多い訳はない。それでいてなおかつ己を全うする途(みち)を棄て道のために天下を周遊していることを思うと、急に、昨夜は一向に感じなかった憎悪を、あの老人に対して覚え始めた。

Context Focus Standard Context
己を全うする (生活)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 = 生活 生活=道

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) 「生活」と「教え」を同種の存在「道(途)」として扱うことで、「生活」「教え」のいずれかを選ぶ必要があったこと、「生活」を犠牲にしてまで「教え」を取ったことの重大さを効果的に描いている。
メタ言語 (metalanguage) 「生活」を「途」と表現し、「教え」を「道」と表現する。前者と後者を対比し、後者を選択したことを述べる。