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「腹の底に依然として険しい感情を蓄えながら」

Page Type Example
Example ID a0340
Author 芥川龍之介
Piece 「蜜柑」
Reference 『芥川龍之介』
Pages in Reference 23

Text

だから私は腹の底に依然として険しい感情を蓄えながら、あの霜焼けの手が硝子戸を擡(もた)げようとして悪戦苦闘する容子を、まるでそれが永久に成功しない事でも祈るような冷酷な眼で眺めていた。

Context Focus Standard Context
険しい感情を 蓄えながら (感じながら)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 蓄える = 感じる 感じる・感ずる=ためる

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
心理描写 (psychological-description) 険しい感情が心の中にはっきりと感じられ、それが次第に強く大きなものとなりつつあるような印象を与える。
カテゴリー転換 (-) 感情を水や食料のように表現している。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 水や食料を使ってしまわず少しずつ増やしていくように、表情や立ち振る舞いに現してはいないものの、険しい感情が心の中にはっきりと感じられ、それが次第に強く大きなものとなりつつあるような印象を与える。