目次

「元五郎親爺も森の中の闇に吸い込まれて」

Page Type Example
Example ID a0280
Author 夢野久作
Piece 「いなか、の、じけん」
Reference 『夢野久作全集第1』
Pages in Reference 61

Text

素裸体のまま曲った足を突張って、一足飛びに入口の近くまで来た。それと同時に、『ワ——ッ』『逃げろッ』という声が一時に浴場のまわりから起って、ガヤガヤガヤと笑いながら、八方に散った。そのあとから薪割用の古鉈を提げた元五郎親爺が、跛引き引き駆け出したが、これも森の中の闇に吸い込まれて、足音一つ聞こえなくなった。

Context Focus Standard Context
元五郎親父が…闇に 吸い込まれて (消えて)

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 吸い込む = 消す 消える=吸う

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
描写 (description) 音を吸い取ってしまう力がある森の闇に、底の知れぬ深さと恐ろしさが感じられる。
誇張法 (hyperbole) 元五郎親爺が駆けていく音が、あたかも森の闇に吸い込まれていったように感じられるほど、すぐに全く聞こえなくなってしまったという印象を与える。