目次

「空中に撒き散らされた罵詈」

Page Type Example
Example ID a0181
Author 中島敦
Piece 「夫婦」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 223

Text

怒鳴り疲れた妻が一寸息を切って椰子水に咽喉を潤おす段になって、やっと、今迄盛んに空中に撒き散らされた罵詈が綿の木の棘の様にチクチクと彼の皮膚を刺すのを感じた。

Context Focus Standard Context
空中に撒き散らされた (言われた) 罵詈

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 撒き散らす = 言う 言う=まく

Grammar

Construction
Mapping Type

 

Lexical Slots Conceptual Domain

 

Preceding Morpheme Following Usage

Pragmatics

Category Effect
アナロジー・類推 (analogy) 粉末・液体を撒き散らすことで周囲が迷惑を被るように、勢いよく放たれた悪言が「彼」に否定的な影響を与えたということが見てとれる。
イメジャリー・イメージ (imagery) ここで発せられた罵倒に、粉末や液体を四方八方へと撒き散らすときの勢いや影響力が感じられる。
擬物法・結晶法 (hypostatization) 罵言が物理的な形をもっているかのように感じられる。