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「夫は羽の抜けた禿翡翠(かわせみ)」

Page Type Example
Example ID a0172
Author 中島敦
Piece 「夫婦」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 222

Text

貞淑な妻を裏切った不信な夫は奸悪な海蛇だ。海鼠の腹から生れた怪物だ。腐木に湧く毒茸。正覚坊の排泄物。黴(かび)の中で一番下劣な奴。下痢をした猿。羽の抜けた禿翡翠(かわせみ)

Context Focus Standard Context
羽の抜けた禿翡翠

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 かわせみ = 夫=ほととぎす

Grammar

Construction A-BはC-D
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Target
C Source
D Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A - B 統語関係
2 B D は-一般的事物に対する判断の主題
3 C - D 統語関係

Pragmatics

Category Effect
明晰 (clarity) カワセミは羽が翡翠色で美しいが、その最も重要な羽が抜けるという指定を行うことで価値を喪失した姿を具体的にイメージさせる。そのような本来的な価値の喪失のイメージを罵倒に用いることで、妻を裏切った夫に価値はないという評価を提示する。
人物描写 (description of a character) 一連の比喩によって、「不信な夫」の下劣さを描いている。
評価 (evaluation) 一連の比喩によって夫に対する否定的評価を示している。
過大誇張 (auxesis) 禿翡翠のたとえが、妻の夫への罵倒の強さを増幅させる。
漸層法・クライマックス (climax) 比喩の列挙が進むにしがって否定的評価がより強く感じられる。