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「夫は腐木に湧く毒茸」

Page Type Example
Example ID a0168
Author 中島敦
Piece 「夫婦」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 222

Text

貞淑な妻を裏切った不信な夫は奸悪な海蛇だ。海鼠の腹から生れた怪物だ。腐木に湧く毒茸。正覚坊の排泄物。黴(かび)の中で一番下劣な奴。下痢をした猿。羽の抜けた禿翡翠(かわせみ)。

Context Focus Standard Context
腐木に湧く毒茸

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 毒たけ = 夫=きのこ

Grammar

Construction A-BはC-D
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Target
C Source
D Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A - B 統語関係
2 B D は-一般的事物に対する判断の主題
3 C - D 統語関係

Pragmatics

Category Effect
誇張法 (hyperbole) 妻を裏切った夫は低劣であるという評価を背景とした罵倒の一部として、腐った木に発生する毒茸という人に害を及ぼす事物を引き合いに出すことで、極めて不快であるという感情が強く読み取れる。
人物描写 (description of a character) 一連の比喩によって、「不信な夫」の下劣さを描いている。
評価 (evaluation) 妻から夫に対して発せられた罵詈雑言の比喩によって否定的評価を示している。
過大誇張 (auxesis) 毒茸のたとえが、妻の夫への罵倒の強さを増幅させる。
漸層法・クライマックス (climax) 比喩の列挙が進むにしがって否定的評価がより強く感じられる。