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「夫は奸悪な海蛇だ」

Page Type Example
Example ID a0166
Author 中島敦
Piece 「夫婦」
Reference 『中島敦』
Pages in Reference 222

Text

貞淑な妻を裏切った不信な夫は奸悪な海蛇だ。海鼠の腹から生れた怪物だ。腐木に湧く毒茸。正覚坊の排泄物。黴(かび)の中で一番下劣な奴。下痢をした猿。羽の抜けた禿翡翠(かわせみ)。

Context Focus Standard Context
奸悪な海蛇

Rhetoric

Semantics

Source Relation Target Pattern
1 海へび = 夫=爬虫類

Grammar

Construction A-BはC-Dだ
Mapping Type 概念メタファー

 

Lexical Slots Conceptual Domain
A Target
B Target
C Source
D Source

 

Preceding Morpheme Following Usage
1 A - B 統語関係
2 B D は-一般的事物に対する判断の主題
3 C - D 統語関係
4 D だ-断定・指定-終止形

Pragmatics

Category Effect
評価 (evaluation) 海蛇という生理的な嫌悪感を喚起する生物を引き合いに出すことで、妻を裏切った夫への不快感を示す。
人物描写 (description of a character) 一連の比喩によって、「不信な夫」の下劣さを描いている。
過大誇張 (auxesis) 海蛇のたとえが、夫への不快感を増幅させる。
漸層法・クライマックス (climax) 比喩の列挙が進むにしがって否定的評価がより強く感じられる。