index:mapping
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[[category:metaphor]]や[[category:metonymy]]などの用例では、ある語が字義通りの意味ではない、別の意味を表しています。字義通りの意味の領域を「起点領域」、文脈上の意味の領域を「目標領域」といいます。何の起点領域が何の目標領域に対応するか、これを分析することが本コーパスでの意味論的分析の着眼点です。 | [[category:metaphor]]や[[category:metonymy]]などの用例では、ある語が字義通りの意味ではない、別の意味を表しています。字義通りの意味の領域を「起点領域」、文脈上の意味の領域を「目標領域」といいます。何の起点領域が何の目標領域に対応するか、これを分析することが本コーパスでの意味論的分析の着眼点です。 | ||
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+ | 以下のページは、『分類語彙表』にもとづく起点領域と目標領域のリストです。 | ||
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+ | * [[index:source]] | ||
+ | * [[index:target]] | ||
認知言語学では、この対応関係を写像 (mapping) といいます。対応関係のタイプとしては、以下の3つを設定します。 | 認知言語学では、この対応関係を写像 (mapping) といいます。対応関係のタイプとしては、以下の3つを設定します。 | ||
- | * 概念メタファー([[category:metaphor]]や[[category:simile]]などが中心) | + | * 概念メタファー([[category:metaphor]]や[[category:simile]]などが中心、「=」で示す) |
- | * 概念メトニミー([[category:metonymy]]や[[category:transferred-epithet]]などが中心) | + | * 概念メトニミー([[category:metonymy]]、[[category:synecdoche]]、[[category:transferred-epithet]]などが中心、「>」で示す) |
- | * 概念コントラスト([[category:irony]]や[[category:oxymoron]]などが中心) | + | * 概念コントラスト([[category:antithesis]]、[[category:irony]]、[[category:oxymoron]]などが中心、「<-->」で示す) |
このコーパスでは、個別の用例で観察された語をもとに、Classの関係を記述しています。Classレベルでの記述は非常に細かいので、体系性をもった概念的な写像とみなすことはできません。ClassのSection、Groupレベルをたどっていくと、個々の写像がグループ分けされて表示されるので、これらが概念レベルの意味のパターンにあたると考えることができます。 | このコーパスでは、個別の用例で観察された語をもとに、Classの関係を記述しています。Classレベルでの記述は非常に細かいので、体系性をもった概念的な写像とみなすことはできません。ClassのSection、Groupレベルをたどっていくと、個々の写像がグループ分けされて表示されるので、これらが概念レベルの意味のパターンにあたると考えることができます。 | ||
==== 用例の分析 ==== | ==== 用例の分析 ==== | ||
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- | === 方針 === | ||
以下のような方針で、具体的な用例の意味論的アノテーションを行っています。(参考: | 以下のような方針で、具体的な用例の意味論的アノテーションを行っています。(参考: | ||
ライン 64: | ライン 67: | ||
* 目標領域のClass:[[target:1.5410-15]] | * 目標領域のClass:[[target:1.5410-15]] | ||
- | 写像は[[mapping:metaphor--1.5153-1--1.5410-15]]です。 | + | 写像は[[mapping:metaphor--1.5153-1--1.5410-15]]です。写像の見出しはClassレベルで表示しています。 |
- | 最上位の分類であるDomainは4個で、「体」は主に名詞、「用」は主に動詞、「相」は主に形容詞、「その他」はその他の語彙からなる語が分類されています。 | ||
ライン 75: | ライン 77: | ||
==== 概念メタファー ==== | ==== 概念メタファー ==== | ||
- | 概念メタファー (conceptual metaphor) は、ある概念領域と、別の概念領域の対応関係の集合です。認知言語学では、概念メタファーが、言語のみならず、概念化、思考、文化の分析に重要であると考えられてきました。例えば「人生」を「旅」であると喩える概念メタファーです。概念メタファーが基盤になる表現としては、レトリック研究の中心である[[category:metaphor]]の用例が挙げられます。 | + | 概念メタファー (conceptual metaphor) は、ある概念領域と、別の概念領域の対応関係の集合です。認知言語学では、概念メタファーが、言語のみならず、概念化、思考、文化の分析に重要であると考えられてきました。例えば、「孤独な一本道を進んでいく」という表現が比喩だとすれば、「人生」を「旅」であると喩える概念メタファーの例です。概念メタファーが基盤になる表現としては、レトリック研究の中心である[[category:metaphor]]の用例が挙げられます。例えば、上の隠喩表現は[[mapping:metaphor--2.1522-1--2.3330-2]]という写像の例です。 |
==== 概念メトニミー ==== | ==== 概念メトニミー ==== | ||
- | 概念メトニミー (conceptual metonymy) は、ある概念領域における要素の対応関係の集合です。概念メトニミーは、伝統的な修辞学における[[category:metonymy]]の意味分類に近いものです。例えば、「部分」が「全体」を表す(例えば「チームで参加するには__頭__数が足りない」)、「衣服」が「人物」を表す(例えば「成人式は__振袖__が多かった」)、「地名」が「産物」を表す(例えば「やっぱり__ボルドー__は高い」)といったような分類です。例えば最後の例では、「ボルドー」という地名とそこで生産される「赤ワイン」はどちらも、ボルドーの産業という概念領域の要素です。 | + | 概念メトニミー (conceptual metonymy) は、ある概念領域における要素の対応関係の集合です。概念メトニミーは、伝統的な修辞学における[[category:metonymy]]の意味分類に近いものです。例えば、「部分」が「全体」を表す(例えば「チームで参加するには__頭__数が足りない」)、「衣服」が「人物」を表す(例えば「成人式は__振袖__が多かった」)、「地名」が「産物」を表す(例えば「やっぱり__ボルドー__は高い」)といったような分類です。例えば最初の例では、「頭」という身体部位と「人」はどちらも、人間の身体構造に関する概念領域の要素で、[[mapping:metonymy--1.5601-1--1.2000-1]]という写像の例です。 |
==== 概念コントラスト ==== | ==== 概念コントラスト ==== | ||
- | 概念コントラスト (conceptual contrast) は、ある概念に関する判断尺度の両極の対応関係です。概念コントラストは、このコーパスで独自に設けた写像のタイプです。その理由は、[[category:oxymoron]]、[[category:irony]]、[[category:paradox]]などの、対比や矛盾といった意味が関わるレトリックの記述には、このような尺度の両極についての記述枠組みが必要になるからです。例えば、[[category:irony]]の例として、大雨の日に「本当にいい天気!」と言って遠足が中止になったことをなげく場合、良い<-->悪い、のような評価の対比が重要です。 | + | 概念コントラスト (conceptual contrast) は、ある概念に関する判断尺度の両極の対応関係です。概念コントラストは、このコーパスで独自に設けた写像のタイプです。その理由は、[[category:oxymoron]]、[[category:irony]]、[[category:paradox]]などの、対比や矛盾といった意味が関わるレトリックの記述には、このような尺度の両極についての記述枠組みが必要になるからです。例えば、大雨の日に「本当にいい天気!」と皮肉的に言って遠足が中止になったことをなげく場合は、[[mapping:contrast--3.1332-1--3.1332-5]]のような評価の対比が重要です。 |
- | ===== 意味のパターン一覧 ===== | + | ===== アノテーション結果 ===== |
- | {{count>index:mapping}} | + | ※用例数は2024年1月22日現在 |